「怖いおっちゃん」に代わるマネジメント

――とはいえ、北山さんも書籍で指摘している通り、昔には戻れません。「怖いおっちゃん」に代わる21世紀の固定費マネジメントを考える必要があるわけです。

北山 設計の方に考えていただきたいのは、自分が設計した図面の工程フローを書けるかということです。具体的には、各工程でどの向きに部品を置いて加工するのか、どの形状が造りにくさに影響するかなどについて知ることです。固定費を意識するといっても、肝心の現場を知らなければ、意識することはできません。そのために、各工程のコストファクターを可視化していくという取り組みが欠かせないのです。

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 一方で、設計は新しい技術も取り入れなければならないので、バランスを取るのが難しいと思います。極端な話、固定費を抑えるだけなら、何も変えなければいいわけです。しかし、それでは製品の競争力を高められません。

 そのためにも、どの工程でどれぐらいの固定費が発生しているとか、投資額に対してどれぐらい回収できているとか、固定費に関する情報を見えるようにしておく必要があります。そうすることによって、技術者も経営者も具体的な数値に基づいて戦略的に動けるようになります。日本のものづくりは、「擦り合わせ」などと言われているわりには、そのあたりのバランス感覚が本当に欠けています。