もうかる体質を実現するための手法として、あらためて設計標準化が注目されている。しかし、「プロフィタブル・デザイン」の提唱者であるプリベクト代表取締役の北山一真氏は、効率ばかりを重視する設計標準化に警鐘を鳴らす。設計標準化はどのように推進していけばいいのか、その“本質”を聞いた。(聞き手は、高野 敦)

――著書『プロフィタブル・デザイン』では、「流用設計」の弊害を指摘しています。なぜ流用設計は良くないのでしょうか。

北山 そもそも流用設計に限らず、標準化や共通化といったテーマ全般にいえるのですが、それに取り組む目的によって結果が良くも悪くもなると思っています。多くの企業は、流用設計にしても、設計標準化にしても、モジュラーデザインにしても、部品共通化にしても、設計効率を高めるために取り組んでいるのではないでしょうか。

 確かに、毎回同じような図面を描いていたら、時間も足りないし、効率も良くありません。新しい図面は不具合も起きやすいので、似たような過去の図面を持ってきて、ちょっとだけ変えればいいということになります。そして、標準化や共通化で「設計工数を○○%削減」というような目標を掲げます。つまり、楽をするための手法という発想なのだと思います。

――楽をする。

北山 そうです。もちろん、効率化は大事です。図面を描かなくて済めば、工数が減るので、リードタイムを短縮できます。しかし、楽をするということが第一優先の目標になっていると、結局は失敗してしまうことが多いのです。