2015年に「電子機器」サイトで最もよく読まれた記事は、スマートフォンの開発競争についてのものだった。トップは、韓国Samsung Electronics社の旗艦機種「Galaxy S6 edge」を分解して詳細に分析した記事。2位は、4.85mm厚の中国メーカー製スマホの分解・解析記事である。いずれも当サイトの看板コラムの1つ「分解スペシャリストが見た!スゴイ製品その中身」の記事だ。コラムは分解して初めて分かる内容が満載で、まだ読んでいない記事があれば年末年始にじっくり読まれることをお勧めする。
ランキングトップの記事は、Samsungが14nmプロセスの自社開発プロセッサーを採用していることを示し、この点について同社の「不退転の決意が表れている」と分析している。同プロセッサーが次世代DRAMのみに対応していることから、今後は現行で主力のDRAMを使う低価格機種ではなくハイエンド機種に開発リソースを注力する不退転の決意があるというのだ。
2位の記事は、スマホの薄型化競争の徹底ぶりを紹介している。分解した機種のメーカーは、長年にわたり多くの機器に標準搭載されてきた直径3.5mmのヘッドフォン端子さえなくし、4mm台の薄さを実現した。一方、CMOSイメージセンサーには「セルフィー(自撮り)」を意識しフロント部にリア部と同じ高画素品を搭載する思い切りようである。
日本メーカーの多くは、スマホ市場を競争の激しい「レッドオーシャン」とみて撤退したが、中国や韓国のメーカーはリスクを取って挑み続けている。この“赤い海”では、リスクを取る覚悟が“参入障壁”として機能しているようにもみえる。