2016年、クルマ関連で読者の関心が最も高かったのは、「自動運転」(シェアリングサービス含む)と「電動車両」だった(右の表の2016年1月1日~11月30日のテーマサイト「クルマ」におけるアクセスランキングを参照)。自動運転と電動車両は、2020年代に向けた自動車分野における2大テーマ。こうした結果になるのは当然と言えば当然なのだが、それに加えて両テーマにおける節目となりそうな出来事があったことも、こうしたアクセスランキングの結果に反映されていると見られる。

 例えば、自動運転では、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が2016年2月に米Google社に対して示したとされる「人間ではないものが車両を運転できるならば、運転するものは『運転手』とみなすのが妥当」との見解だ(第8位の「完全自動運転車が世界を走る」、図1)。現行法では運転手がいない車両は行動を走れないとされており、この見解は、完全自動運転車の実用化に道を開くものといえた。

NHTSAからGoogle社への回答
図1●NHTSAからGoogle社への回答
2016年2月、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が自動運転用ソフトウエアを「運転者」とみなせる可能性があるとの見解を示した。
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 また、日産自動車が日本の自動車メーカーとしては初めて、SAE(米自動車技術者会)が定義する「レベル2」に相当する自動運転機能を商品化したのも2016年だった(第20位の「日産の「プロパイロット」搭載車に乗って思ったこと」)。自動車専用道路の単一車線に限って運転者の監視の下で自動運転を実現する機能(同社は「プロパイロット」と呼ぶ)で、同年8月発売の新型ミニバン「セレナ」にオプションとして搭載した(図2)。その装着率は、同年11月2日時点では約6割。当初の4割という同社予想を大きく上回る格好で消費者に受け入れられている。

レベル2の自動運転技術「プロパイロット」を搭載したミニバン(後ろ)
図2●レベル2の自動運転技術「プロパイロット」を搭載したミニバン(後ろ)
日産自動車は新型ミニバン「セレナ」にプロパイロットをオプションとして搭載した。
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 もっとも、そうしたレベル2の自動運転機能による不幸な死亡事故が初めて報告されたのも2016年のことだ。対象の車種は、米Tesla Motors社の電気自動車(EV)「モデルS」。同車にはレベル2の自動運転機能「Autopilot」が搭載されており、同機能を使って走行中のことだった(「Tesla「Model S」、簡易自動運転中に死亡事故」)。事故を起こした責任は運転者にあるが、自動運転機能の限界をユーザーに的確に伝えることの重要性や、ユーザーを過信させない自動運転機能のつくりこみの必要性を再認識させた。