日本メーカーのものづくりにはどのような死角があるのか──。

 2016年10月3日~11月3日までに、日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「スキルアップ」で読まれた記事のランキングの上位には「設計、開発、生産などに関する日本のものづくりの課題をいかにして克服するのか」というテーマに関連する記事が目立ちました。

 第1位となったのが「間違いだらけのDR」で、筆者はワールドテック代表取締役で元デンソー設計開発者の寺倉修氏です。

 DR(デザインレビュー)とは、開発段階の商品を、企画、開発、設計、生産、品質などを担当する関係者が集まって、評価する会議で、一般的には設計審査を意味します。

 「設計プロセスは抜けがなく実施されてきたか、職場の技術的な知見は抜けなく盛り込まれているか、CAEなどのツールは適正に活用されたか、設計基準などのレベルは高く有効に使われたか──を振り返り、活動結果に対する気付きを得て検討・議論する場がDRなのである」(寺倉氏)。

 しかし日本メーカーでは、DRが有効に機能していないケースが少なくありません。「日本企業のDRの典型的な様子はこうだ。DRに出席したメンバーの中で最上位の職制の社員が一方的に発言し、設計担当者が冷や汗をかきながら平謝り。そして、他の参加者は押し黙ったまま、早く終わらないかと傍観している──。はっきり言って、これではDRとは呼べない。単なる上司への報告の場だ」。寺倉氏はこう指摘します。