日経テクノロジーオンラインの電子デバイス系サイト、すなわち、「半導体デバイス」「半導体製造」「EDA・ソフトウエア」「アナログ」「電子部品」「デバイス」というテーマサイトで公開した全記事のうち、2015年8月17日~9月17日にアクセス数が多かった上位20の記事を下表にまとめた。
今月のトップ10の記事も、海外の話題がほとんどである。その中で目を引くのが、6位に入ったソニーのイメージセンサーの記事「人間の目を超えたイメージセンサー、ソニーがスマホの次を語る」と、8位に入った長野県茅野市に本社を持つサイミックスの記事「バッテリーレスに特化しIoT時代に挑む」だ。日本を代表するエレクトロニクスの大企業と、地方で輝きを放つ中小企業の記事が、読者の関心を集めた。
ソニーがイメージセンサーの未来を展望
「スマートフォン向けのイメージセンサーの市場は10億個規模、でもその先に100億、1000億個の市場がある」。イメージセンサー分野で世界をリードするソニーの大場重生氏(デバイスソリューション事業本部 イメージングシステム事業部 IS事業戦略部 統括部長)は、こう語った。2015年8月20日にSEMIジャパンが催した「SEMI Members Day 東京」における講演での発言である。
大場氏の講演はCCDイメージセンサーの話から始まる。CCDイメージセンサーの開発に着手した際の目標は「フィルムを超える」だった。時代はCCDイメージセンサーからCMOSイメージセンサーへと移る。CMOSイメージセンサーの開発当初の目標は「人の目を超える」だった。そして現在、CMOSイメージセンサーの技術開発が進み、その目標はほぼ達成された。
このような人の目を超えたセンサーに未来はあるのかが、今回の講演のテーマだった。イメージセンサー産業をリードするソニーの大場氏が、未来を熱く語った。
茅野から“お宝”を生み出した中小企業
8位は、連載コラム「地方に眠る“お宝”技術」の記事である。主役のサイミックスは、「エネルギーハーベスティング技術」「センサー」「無線通信」を融合したシステム製品の開発に注力している、長野県茅野市の企業だ。同社は、元々2012年7月にセイコーエプソンの技術者らが、半導体の開発・製造、特に信号処理ICとMEMS製品の開発を軸に起業した会社である。
しかし、半導体製造はコスト構造がオープンで、製品の価格が自ずと決まってしまうため、利益を出しにくかった。そこで、目をつけたのが得意のセンサーを応用したシステム製品ビジネスだった。新しい市場を開拓するビジネスであるため、立ち上がりはすべて順調という訳にはいかないが、市場に製品が認知されるにつれ、売上・利益とも順調に伸びてきている。
同社が、新しいシステム製品の中核に位置づけているのが、無線通信技術「EnOcean」である。ドイツのEnOcean社の技術で、蓄電池不要で無線通信を可能とすることから、どこにでも設置でき、メンテナンスフリーにできるという特徴がある。
同社はこの技術を応用した第1号製品として、デザイン性に優れた簡単なスイッチ「マッシュスイッチ」を2013年に商品化した。その後も、同社は新製品、新サービスへの挑戦を続けている。記事では、その様子を紹介している。