日経テクノロジーオンラインのエレクトロニクス分野で、2016年8月14日~9月14日の1カ月間でアクセス数の多かった記事、トップ20を右表にまとめた。最もアクセス数の多かった記事のタイトルは、「苦節十数年、素子から作ったソニーのLEDディスプレー」だった。微細なLED素子をひとつの画素として利用する同社のLEDディスプレー技術「CLEDIS(クレディス)」を使うことで、100万対1のコントラストを実現した。

 LED素子からソニーが作っていて、原点となる同素子の研究開発から数えると、今回のLEDディスプレーの実用化までおよそ十数年かかったという。その間、何度か開発中止の声がソニー社内で上がったようだが、それを乗り越えて、製品化にこぎつけた。最近の大手機器メーカーの製品では珍しい、長い期間を経て実用化されたものである。

 同社はCLEDISを適用したディスプレーユニットを開発し、米国ラスベガスで開催されたオーディオビジュアル分野の展示会「InfoComm 2016」で披露している。製品としての発売は、2017年1〜3月の予定である。

 このディスプレーユニットを複数個組み合わせることで、用途や設置場所に応じて画面の大きさや縦横比などを変えられる。ユニットの画面の枠は非常に細い。これを上下左右に並べることで、目地がほとんど見えない大画面を構築できる。

 デジタルサイネージやパブリックビューイング、ショールーム用ディスプレー、自動車のデザインレビューなど、主にB to B用途での利用を想定する。例えば、ユニットを横12個、縦3個並べて横3840×縦1080 画素とした、4.8m×1.4mの200 型ディスプレーを構築できる。

 2番目にアクセス数の多かった記事のタイトルは、「サムスンとTDK子会社の浅からぬ因縁」だった。この記事では、バッテリー問題で揺れる韓国Samsung Electronics社のスマートフォン「Galaxy Note7」(以下Note7)を採り上げている。

 Note7は同社が2016年8月19日に発売を開始した5.7型のスマホの旗艦モデル。発売後2週間で爆発、出荷のトラブルが35件報告された。これを受けて同社は同年9月2日、調査の結果、バッテリーセルの供給を受けている2社のうち1社の製造工程に問題があったとし、韓国、米国など世界10カ国で販売済みの約250万台を回収し新品と交換するというリコールを発表した。

 Note7にバッテリーを供給している2社とは韓国Samsung SDI社と、香港Amperex Technology(ATL)社だが、問題になった製品は全てSamsung SDI社製だったと見られている。両社の供給比率は、Samsung SDI社が65%、ATL社が35%だという。ATL社はTDKの子会社で、広東省東莞と福建省寧徳に中国子会社と製造工場がある。このATL社とSamsungグループは、Apple社製品へのバッテリー供給でも、因縁と呼んでもいいような過去を持っている。

 3番目にアクセス数の多かった記事のタイトルは、「人気も吸引力も衰え知らず、Dysonのサイクロン掃除機」だった。日経テクノロジーオンラインの中で人気の、柏尾南壮氏(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ)による機器分解レポート記事である。同氏の分解レポートはスマートフォンなどの電子機器を対象にすることが多かったが、今回は電気掃除機。マイコンなどからなる制御用電子回路に加えてモーターなどにもメスを入れた。

 記事のタイトルにもある通り、英Dyson社の掃除機は、国産機と比べて高価だが、吸引力をアピールして日本市場で人気がある。記事によれば、分解したDysonの掃除機は、日本製のコードレス掃除機が重視する騒音対策やバッテリー性能はスルーされていて、グリップを握ってトリガー式スイッチを入れると、猛烈な騒音でテレビの音は聞こえなくなる。今回の分解では、充電池の持ち時間が短い理由や、高価そうな部品を探っている。