ここに一枚の写真がある。洪水で水があふれたタイの街中を1台のピックアップトラックが荷台に人を乗せて移動していくというものだ。「掲載はお控えください」とご提供いただいたものなので直接ご覧いただくことはできないが、水位は車輪が見えなくなるほどの状況だ。それでも、このピックアップトラックは停止することなく走り続けている。

 2015年9月9~11日に関東・東北地方を襲った豪雨は甚大な被害をもたらした(被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます)。テレビでは、ヘリコプターやボートを駆使して自衛隊の人々が救助に当たるシーンが数多く放映されていた。こんなとき、冒頭のような“タフ”なクルマが近くにあれば、いろいろと役立つに違いない。

ランクルとはかくあるべし

 そうしたピックアップトラックの代表格の一つが、トヨタ自動車の「Hilux」だ。同社の新興国向け世界戦略車群「IMV」シリーズの中核車種となっているクルマで、IMVシリーズ全体の販売台数は年間100万台規模にも及ぶ。同社は2015年5月、その新型モデル(新型Hilux)をタイで発売。新開発のディーゼルエンジン「GDエンジン」や6速AT(自動変速機)などの先進技術を盛り込むことで、乗用車としても使える乗り心地や静粛性を実現しながら、走破性や耐久性などのタフさを高めた。

 そして、その新型Hiluxと同じ新しいディーゼルエンジンを採用したのが、新型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「ランドクルーザープラド」だ。Hiluxは日本では売られていないが、プラドは日本でも売られるクルマ。日本では同年6月に発売した。

 実は、その開発者の思いが面白い。なんとそれは「ランクルは地球上最後に残るクルマであると認識して開発に臨むべし!」というものだ。日経テクノロジーオンラインではその開発責任者の小鑓貞嘉氏を取材し、2015年8月25日にインタビュー記事を掲載した。同記事のタイトルは「『燃費よりも信頼性』、それが“ランクル”だ」。同年8月11日~9月10日のテーマサイト「クルマ」におけるアクセスランキングで見事、1位に輝いた記事だ。

 同記事の中で、小鑓氏は次のように語っている。「目的地に行けても、戻ってこられなければ行ったことにはならない。登山でも同じで、頂上に辿りついても、下山途中で遭難しては夢はなくなる。だから、我々が開発でこだわっているのは、行きたいところに行けて、戻ってこられること。どんなところでも性能を発揮できる『信頼性』『耐久性』『悪路走破性』だ」。ご興味を持たれた方は、是非とも同記事をご一読ください。