会計不祥事で遅れに遅れた決算がようやく公表された──。2015年9月7日、東芝は2015年3月期の連結決算を発表した。不適切会計の問題がさまざまな部門に広がり、決算発表は当初予定から実に4カ月も遅延した。

 東芝は2015年3月期の最終損益が378億円の赤字(前年同期は602億円の黒字)に転落。注目を集めていた2009年3月期から2014年4~12月期の税引き前利益の下方修正額(水増し額)は合計2248億円に達した。東芝は同時に経営体制の刷新も発表した。

 「悪魔は細部に宿る(Devil is in the details)」という言葉がある。東芝の会計問題では、とりわけパソコン事業の利益の水増し額が578億円と大きかった。同事業における会計のからくりを、同社の決算発表前のタイミングで、専門家が詳しく分析した記事が日経テクノロジーオンラインでは注目を集めた。

 2015年8月3日~9月3日までの約1カ月間に、日経テクノロジーオンラインの「技術経営」サイトで最も読まれた記事は「最終報告書で明らかになった東芝PC事業の露骨な利益操作」だった。

 「パソコン事業における部品の有償支給に関する取引は、第三者委員会報告書を見る限り、非常に悪質性が高い」。執筆者でブライトワイズコンサルティング合同会社代表の金子智朗氏は記事中でこう指摘した。

7月21日の会見で頭を下げる東芝の経営幹部
7月21日の会見で頭を下げる東芝の経営幹部
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