企業の成長を牽引する新たな技術のタネをどのようして探し出すのか──。

 2016年8月1日~9月1日までに、日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「スキルアップ」で読まれた記事のランキングの上位には「新たな技術や有望な成長領域をどのようにして見つけ出すのか」というテーマに関連する記事が目立ちました。

 まず第2位が「茫漠とした新技術をどう調べ、的確な開発方針につなげるか」で、筆者はiTiDコンサルティング シニアマネージングコンサルタントの濱田研一氏です。

 人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、自動運転など、さまざまな新しいキーワードが注目を集める中、メーカーの開発戦略の担当者は、経営幹部などから「状況を調べてほしい」とリクエストを受けるケースが増えています。

 しかしながら、従来の自分たちの仕事の延長線上ではない、新しい枠組みの技術を調査するのは簡単ではありません。「技術調査の難しさは、『いったい自分が何を知りたいのか』がそもそも明確にできないことにあります」。濱田氏はこう指摘します。

 記事中では自動車向け電装部品を手掛ける大手精密機器メーカーA社が事例として登場します。A社の開発戦略部門の担当者は、自動運転車や自動ブレーキに関心を持ち、「自動車に搭載可能な、外部物体を検知・把握するセンサーについての技術動向を調査してほしい」と外部のシンクタンクに依頼しました。

 その結果、物体を検知するレーダーの種類とその原理・性能が詳細に記載された報告書が届きます。しかしA社の開発戦略部門の担当者は、このレポートを見ても自社がどうすべきなのかの答えがなかなか見いだせなかったそうです。