IoT(Internet of Things)の応用による工場改革が広く関心を集めています。2016年6月28日~7月28日の日経テクノロジーオンライン「ものづくり(総合)」の記事アクセスランキングは、第1位「多品種少量でもロボットは使える」、第2位「デンソーはなぜ工場のIoT活用を急ぐのか」ともに連載「Factory 20XX」の記事でした。前者はアスクルのピッキング業務自動化用ロボットシステム、後者はデンソーの「ダントツ工場」の実現するシステムの事例です。

 第15位の「日本のものづくりは、IoTでもっと成長する」も、同じ連載Factory 20XXの記事。インドに本社を置くIT企業Infosys社のIoT事業のトップへのインタビューでした。右のランキング表には、さらに「工場IoT関連、特許総合力1位は日立製作所」(第12位)と、IoT関連の記事が入りました。

 ただ、第3位の「社内技術の一覧表を作成するだけで満足していないか? 」は、工場やIoTとはかなり趣きが異なる記事でした。2016年4月に開始した連載「技術を強みとした新規事業開発の教科書」のうちの1回です。この連載は新規事業のアイデアをどう見つけて育て、実現していくかを系統的に解説していくもの。今後の予定は表紙ページあるいは第1回でご参照いただけます。現在は具体的なプロジェクト進行方法の話題になっており、「自社が保有する技術的な強みをどう洗い出すか」を解説したのがこの回でした。第13位の「『自前主義』を前提とした社外技術調査になっていないか?」も、この「技術を強みとした新規事業開発の教科書」の記事です。

 さらに色合いが変わっているのが第4位の「『You got it』と言われたら安心してよいか?」。連載「米国地元メーカーの日常風景」のうちの1回で、英語にも「ソバ屋の出前」に相当する微妙な表現があることを、米国企業で働く筆者が説明しています。この連載の筆者古賀氏は以前の回でも英語について、「ストレートな表現になるのは、英語が下手だから」という記事を執筆しています。

 今回のランキングでは、さらに第5位は「『Galaxy S7』のプラットフォームが2種類あるワケ」とスマートフォンの中身の話題、第6位の「ユニクロ流の国産腕時計で秩序を破壊」はメイカーズ・トレンドのその後を描いた『日経ものづくり』2016年7月号の特集記事、というように多彩な内容が続きます。

 見出しで興味を引くのは、第16位「黙々と実験こなすロボ、『ピペット奴隷』から研究者を解放」、第17位「工場作業版『太鼓の達人』、NECが開発」あたりでしょうか。太鼓の達人の記事は、工場におけるベテラン作業者の作業の要点やリズムを学習するVR(仮想現実感)システムを紹介したもの。HMD(ヘッド・マウント・ディスプレー)の画面に、右から左へと流れる作業アイコンに合ったタイミングで作業をすると「OK」がもらえます。

 この記事では「作業アイコン」や「タイミングチャート」という言葉を使いましたが、本家の「太鼓の達人」で画面の右から左へ流れてくる赤や青の顔マークのことを何と呼ぶかご存じでしょうか。当該記事のデスクを担当した関係上、一応調べたところでは「音符」というようです(太鼓の達人のWebサイト)。本家にならって「音符」という用語を使おうかとも思いましたが、分かりやすくなるようにはあまり思えないのでやめました。

 ところで、「作業アイコン」は青色です。思わず作業台のへりを叩きたくなる人はいないでしょうか…。