日経テクノロジーオンラインのエレクトロニクス分野で、2016年5月17日~6月16日の1カ月間でアクセス数の多かった記事、トップ20を右表にまとめた。最もアクセス数の多かった記事のタイトルは、「中国半導体の躍進はない、ただ1つの可能性を除けば」である。この記事の著者である、微細加工研究所の湯之上 隆氏は、最近、欧米半導体メーカーの買収などで勢力拡大を図っている中国の半導体産業について論じている。タイトルにあるように、同氏は、中国の半導体産業が世界を牛耳ることは不可能だという姿勢だ。

 中国人がチームプレーが得意ではなく、半導体製造工場をうまく稼働させられないだろうと同氏は指摘する。タイトルにある「ただ1つの可能性」とは、中国人に代わって人工知能が進歩して、工場の制御に当たることだとする。そうなれば、中国人のウイークポイントがなくなり、半導体産業の勝ち組になるという。

 最近、エレクトロニクスの世界では人工知能が大ブームである。人工知能が力を付けた背景には、半導体の微細化による集積回路の処理能力向上があることは確かだろう。今度は、その人工知能が半導体産業の勢力地図に大きな変化をもたらすかどうかは、今後の注目点と言える。

 2番目と4番目に読まれた記事は、どちらも日経テクノロジーオンラインのエレクトロニクス分野では人気の「分解」シリーズである。2番目に読まれた記事では、中国Huawei Technologies社のスマートフォンのフラッグシップ機「Huawei P9」を分解した。分解と記事執筆を担当した柏尾 南壮氏(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ)によれば、このスマホの最大の特徴は、背面に画素数12Mピクセルのデュアルカメラを搭載していることである。「端末の片側隅に固まるように2個のカメラを配置するレイアウトは、今秋に発売されるiPhone 7に似ていると見られている」(同氏)という。

 4番目に読まれた記事では、タイSiam Mobile社のスマホ「Siam X7」を分解した。このスマホの最大の特徴は、筐体の両面にディスプレーを搭載したことである。これまでのスマホでは、筐体の片面だけにディスプレーを搭載するものがほとんどだった。Siam X7は、片面に液晶パネル、もう片面に電子ペーパーを搭載しており、柏尾氏は同機を「未来型スマホ」と称している。両面に付いているのはディスプレーだけではない。タッチパネルも両面に付いている。

 これら分解記事に挟まれた3番目に読まれた記事では、IHSテクノロジーの大山 聡氏が、大手電機メーカー8社の2015年度決算を分析した。同氏によれば、2015年度は東芝とシャープの2社が良くない意味で特に注目された1年だったが、それ以外の企業も全体的に減益基調だという。2016年度の見通しもおおむね芳しくなく、次の成長に向けた具体的な戦略を立てられずにいる各社の悩みが表面化している形だとする。