日経テクノロジーオンラインの電子デバイス系サイト、すなわち、「半導体デバイス」「半導体製造」「EDA・ソフトウエア」「アナログ」「電子部品」「デバイス」というテーマサイトで公開した全記事のうち、2016年3月14日~4月14日にアクセス数が多かった上位20の記事を下表にまとめた。

 今回のランキングでは、シャープと台湾・鴻海精密工業(Foxconn社)に関する記事が、1位から4位までを占めた。6位にもランクインしている。2016年2月4日、シャープは経営再建に向けた協議を、鴻海との間で優先的に進めることを表明。当初は「今後1カ月をメドに最終的な契約を締結できるよう協議していく」(シャープ 代表取締役社長の高橋興三氏)としていたが、その後、シャープが描いたスケジュール通りには進まず、交渉は約2カ月にわたって続くことになる。この間、協議の行方や、シャープへの鴻海の資本参加による影響について、読者が強い関心を持ち続けていたことが伺える。

 1位~4位、そして6位の記事はいずれも、人気コラム「テクノ大喜利」の記事である。同コラムでは、日本企業の国際競争力を維持・向上するうえで、シャープという国内上位の電機メーカーが鴻海という外資企業の傘下に入った今回の件から得られる教訓を論じてもらった。その一連の記事が、1位、2位、4位、6位にそれぞれランクインした。微細加工研究所 所長の湯之上隆氏、慶應義塾大学 特任教授の田口眞男氏、アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパルの三ツ谷翔太氏、テカナリエ 上級アナリストの清水洋治氏の各氏が回答している。なお、3位の記事は、これら識者の回答を整理・分析したまとめ記事である。

 さて、鴻海の傘下に入ったシャープは、今後どうなるだろうか。

 真価が問われるのはこれからだ。とはいえ、長期間にわたって経営危機の状態が続いているために失われていた現場に、活気が戻るキッカケとなる可能性がある。鴻海の資本参加によって経営危機から脱し、失敗を恐れずに挑戦できる元気な会社になることができれば、復活の芽が出てくるだろう。

 スピーディーな判断力と行動力を持つ経営者がトップに立つことで、予想以上の速さで、社内の空気が変わるかもしれない。もちろん、従業員全員にとって“いい話”ばかりではないだろう。これまで顧客よりも自分の社内での立ち位置に重きを置いていた人は、そのままだと、居場所がなくなってしまうかもしれない。

アクセス記事ランキング(3/14~4/14)
デバイス
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