「サプライヤーの生産能力と比べて低水準の生産が続く見通しであることなどから、生産調整のモメンタムは依然底打ちしていない」――。2016年3月の「設計・生産」サイトの記事アクセスランキングには、「iPhnoe」関連の記事が目立ちました。

 第1位は、コラム「台湾・中国中根レポート」の「不振続くiPhone生産、もうすぐ底か“底なし沼”か」。筆者の中根康夫氏は、iPhoneの部品発注調整や生産調整は底打ちしておらず、まだしばらく続くと観測しています。第3位もiPhoneの生産調整が部品メーカーに与える影響を解説した同コラムの記事「iPhone向け部品部材メーカー、“三重苦”の恐れ」でした。この他、「有機EL版iPhone登場のカギ握るキヤノン子会社」が第7位に入っています。

 折しも、先頃、最新の「iPhone SE」が発売されたばかり。生産調整が続くなど米Apple社には往時ほどの勢いはみられないものの、依然としてこのスマートフォンに対する関心の高さがうかがえます。あれほどの人気を誇ったiPhoneが今後どうなっていくのか。新機種投入で一時的にせよテコ入れできるのか、噂されている有機EL搭載機種は出るのかなど、この高収益製品の行く末にはまだしばらく目が離せません。

数十年の長い目で応援

 今回、もう一つ目立ったのはMRJ関連記事です。5位と6位に「『最初で最後』、MRJ量産工場の内部撮影」「MRJ事業化、成功の条件」が並んで入りました。前者は、今後はもう撮影はできないであろうMRJ量産工場の内部を、数多くの写真で紹介しています。同機に対する期待は大きく、県営名古屋空港には、試験飛行するMRJを写真に収めようと、いつ出現するかも分からない同機を待つ人の姿が絶えないと言います。

 一方で後者の記事にあるように、事業化に向けてはまだ長く険しい道が待っています。ただ、筆者の森岡謙仁氏は、「MRJを核とした近中距離地域航空事業という新事業の立ち上げには、そもそも数十年の開発期間が必要とされる。今の段階で事業の成否について騒ぐには当たらない」と指摘します。航空機は将来の一大産業となり得る分野だけに、我々マスコミも長い目で応援していきたいところです。