「自動車産業では、大災害や大規模事故が起きるたびに、供給網の不備が指摘されてきた。(中略)しかし、私はトヨタ自動車のこれまでの取り組みが決して無駄ではなく、むしろ被害を抑えることに貢献したと位置付ける」。トヨタ自動車が2016年2月8日から国内における完成車組み立てラインの稼働を1週間停止したことに対して、未来調達研究所取締役の坂口孝則氏はこのように説明します。

 2016年2月3日から3月3日まで、日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「設計・生産」で最も読まれたのは、坂口氏による「トヨタの国内工場停止、早期復帰が示した底力」でした。サプライチェーンは何が起こっても止まってはならないという「ゼロリスク信仰」を批判的に論じた画期的な記事です

 この記事の他、同期間によく読まれたのは、設計改革の在り方を問う記事でした。「技術者塾・品質完璧マスターシリーズ」の講師を務めるワールドテック・皆川一二氏(元デンソー)へのインタビュー(第2位)、iTiDコンサルティング・寺島克也氏の寄稿(第3位)、「プロフィタブル・デザイン」の提唱者であるプリベクト代表取締役・北山一真氏へのインタビュー記事(第5位)、「技術者塾・設計管理者に必須の設計マネジメントの実務と要点」の講師である國井技術士設計事務所所長・國井良昌氏へのインタビュー記事(第6位)と、設計開発のベテランや有識者による記事が上位に並びました。

 「日経ものづくり」誌の編集スタッフが、同誌に掲載した記事の背景を解説した文章もよく読まれました。第4位の「インダストリー4.0のカギを握るドイツの教育制度」は、ドイツの教育制度に詳しい日鉄住金総研 客員研究主幹の山藤康夫氏による寄稿記事(日経ものづくり2016年1・2月号)について書いたもの。学校の授業と企業での職業訓練を並行して進める「デュアルシステム」など、ユニークな取り組みが読者の共感を得たようで、380近い「いいね」も獲得しています(2016年3月7日12:00時点)。

* ご存じの方はご存じと思いますが、坂口氏は日本テレビ『スッキリ!!』の木曜(隔週)コメンテーターとしても活躍しておられます。