日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「クルマ」において、2016年1月4日~2月4日のアクセスランキングでトップになったのが、「iPhoneが“爆発”し、タクシー会社は潰れた」という記事です。2016年1月上旬に米国ラスベガスで開催された展示会「2016 Intermnational CES」を取材した筆者が、帰国前に過ごした米国サンフランシスコでの束の間の休憩時間の出来事を綴ったものです。
ユーザーもサービスの提供主
その筆者がサンフランシスコで目にしたものの一つが、ある2枚のステッカーをフロントガラスに貼ったクルマと、黄色いタクシーです。ネタばれになるので、これ以上は触れませんが、米国の自動車関連業界で巻き起こっている新ビジネスの萌芽とそれによる変化を象徴したものです。
背景にあるのは、顧客価値として“コト”を提供しようという考え方です。ハードウエアとしての“もの”ばかりに目を向けるのではなく、“もの”によって創出できる利便性や体験・感動といったソフトウエア的な価値に目を向けようという概念です。さらに、ものではなくコトを提供することで新しいビジネスを創出しようという考え方です。
興味深いのが、コトを提供できるのが、メーカーや事業主だけではなく、ハードウエアを購入したユーザーも対象として含まれることです。さらには、そうしたユーザーをまとめて一つの事業として成立させる新たな形態の事業主が登場しているということです。
そして、日本の自動車部品メーカーも近年、そうしたサービスの重要性を強く意識し始めています。『日経Automotive』が自動車部品メーカーを対象に2015年11~12月に実施したアンケート調査でも、「2030年で付加価値が最も上がっている部品・モジュール・サービス」について、1割近くがモビリティーサービスを挙げました。なお、アンケート調査の結果の詳細については、『日経Automotive』2016年2月号の特集で紹介しています。ご興味をお持ちの方は、こちらも併せてご覧ください。