2015年末から2016年1月末までの「設計・生産」サイトの記事アクセスランキング第1位は、「プロフィタブル・デザイン」の北山一真氏へのインタビュー「『工数を減らせ』と言う設計者が、考えない技術者を生む」でした。設計標準化で設計を効率化することは必要だが、それが「楽をする設計」の追求になってしまうと、品質向上や付加価値向上という創造的な設計を阻害する本末転倒な状況になるとのお話でした。

 北山氏は、こうも語っています。「時間が空いたら人は考えるようになるかといったら、それも幻想です。時間が空いたら、新しい案件を入れられるか、無駄な会議に呼ばれるか、飲み会が増えるかのどれかです。『今は忙しいけど、時間が空いたら創造的な業務に集中できる』などというのは、あり得ません。考えるためには、考えるための仕組みが不可欠です」――。これには深く頷いてしまいました。設計業務に限らず記者自身を振り返ってみても、時間が空いたら深く考えて創造的なことをするかというと、なかなかそうはいきません。「考えるための仕組みが要る」のです(私が怠け者なだけではないと思いたい…)。

 その点で、北山氏が高く評価しているマツダのもの造り改革では、思想やコンセプト、考え方を共通化しているとの指摘が強く印象に残りました。ちなみに、北山氏関連では、2015年4月に掲載された「『iPhoneが』もうかる本当の理由」がいまだに上位にランキングされています。4月以降、ランキングに顔を出さないことはない大人気の1本です。

 右のランキングでもう1つ目立つのは、4位や8位、10位、20位にランクインしている技術者塾の講師陣へのインタビューです。特に、4位の「本当の『設計力』を備えていますか?---デンソーで鍛えられた設計の極意」や10位の「いまさらFMEAが人気のワケ」のように、「品質」にかかわる記事に高い関心が集まっています。上述の北山氏のインタビューやコラムの人気が高いことも考え合わせると、今の設計現場が設計力の低下や、新しいもの高品質なものを生み出すためにはどうすればいいのかという課題に強い問題意識を抱いていることが伺えます。

半世紀で競泳水着はどう変わったか

 さて、今回は、「スポーツをテクノロジーする」から「オリンピック競泳水着をテクノロジーする」(3位)と「世界記録を量産した水着」(13位)がランクインしました。技術的な視点で競泳用水着を分析していて読み物として大変面白い記事でした。中でも、オリンピック競泳水着をテクノロジーする」は、1964年の東京五輪から2014年ロンドン五輪までの水着の変遷を写真付きで振り返っていて、懐かしくも興味深いものでした。競泳水着シリーズは後1回あります。技術がどれくらいタイムの短縮に寄与したのか――。次回を楽しみにしたいと思います。