55の企業や大学、団体がパネル展示を実施した
55の企業や大学、団体がパネル展示を実施した
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 「姫路で面白いことをやろうとしているよ」――。

 2016年12月21日、リアル開発会議のアドバイザーである多喜義彦氏から情報を得て、「展示でチェンジ」という、ちょっと変わった名称のイベントに参加した。

 同イベントは、はりま産学交流会と播磨国際協議会、神戸産学官交流会が共同で開催。中小企業や地方大学などが自社や自大学の思いや強みをA1サイズのパネル1枚に凝縮し、多くの人に伝えようという取り組みだ。

 そもそもの発端は「中小企業が販路を拡大するのは、ものづくりをするよりも難しい」という課題にある。その課題を少しでも解決していきたいとの思いから始まっている。キラリと光る技術を持っていても、規模が小さい中小企業や地方大学はなかなかアピールできず、顧客開拓や人材確保に苦労している現状がある。

 こうした中、“てづくり てさぐり 手弁当“を標榜してイベントを仕掛けている、はりま産学交流会が新たな試みとして企画したのが、「展示でチェンジ」である。第1回となる今回は、はりま地域を中心に神戸、大阪、鳥取などから55の企業や大学、団体が出展していた。

 イベントでは、優秀な展示を表彰するため、来場者が三つのシールをもらい、良かったと思うパネルの企業や大学にそれぞれ投票した。その後、講評者からのアドバイスと多喜氏の講演が行われ、投票数の多かった上位3つの企業や大学を表彰した。

富士通デザインの柿崎氏がアドバイス
富士通デザインの柿崎氏がアドバイス
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良かったパネルにシールを貼って投票
良かったパネルにシールを貼って投票
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 講評は富士通デザイン デザインディレクターの柿崎孝之氏と、兵庫県立大学 教授の長野寛之氏が実施した。柿崎氏はアピールしたいことを整理して伝えることの大事さを説き、長野氏は大手メーカーにいた経験からグッと来るパネルについて紹介した。

 多喜氏の講演では「格好良く、お金を掛けて作ればいいというものではない。中小企業が自社の思いを自ら考えて伝えることが大事であり、手作りであることがいいではないか」との話があった。そして、この1枚のパネルに思いを込めるイベントを毎年開催し、全国の企業や大学が集まる“場”として、高校野球の甲子園のように姫路発の全国大会に盛り上げていこうと来場者に訴えた。