アニメーション映画「君の名は。」の売れ行きが絶好調です。公開から1カ月足らずで774万人以上の観客を動員し、興行収入は100億円を突破したそうです。このブームに伴って、作品の舞台のモデルになった現実の地域をファンが訪れる“聖地巡礼”が話題になっています。

 アニメや漫画、ゲーム作品などの聖地巡礼は、近年大きな盛り上がりを見せています。作品に出てくる印象的なシーンと同じ構図で聖地を撮影したり、キャラクターと同じ視点に立って、その心情に思いを馳せたり。このような、鑑賞だけにとどまらない自らの実体験が、作品をより身近なものにするのでしょう。

右上の画像を参考にしながら、キャラクターのAR画像を自由に拡大縮小・移動・回転して撮影できる。(C)Green Leaves / Wake Up, Girls!2製作委員会
右上の画像を参考にしながら、キャラクターのAR画像を自由に拡大縮小・移動・回転して撮影できる。(C)Green Leaves / Wake Up, Girls!2製作委員会
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 この聖地巡礼を、気軽にできるように支援するスマートフォン(スマホ)向けアプリがあります。ソニー企業が提供する「舞台めぐり」です。このアプリの特徴は、スマホのGPS情報とAR(拡張現実感)をうまく取り入れていること。地図に表示される聖地スポットに近づいて「チェックイン」すれば、そのスポットをキャラクターが紹介する特典ボイスがもらえたり、キャラクターのAR画像と一緒に現地を撮影できたりします。その場でなければ得られない特典や、自分で撮影した画像は、ファンにとっては宝物。2016年3月末時点で累計4万人のユーザーが「舞台めぐり」を使って聖地巡礼をしているとのことで、対応作品も増え続けています。

 「舞台めぐり」の強みは、その拡張性の高さです。AR画像やボイスを追加していくことで、ユーザーに新たな価値を提供できるからです。実際、「舞台めぐり」では、同じ作品について期間限定のイベントをリリースするなど、継続的に聖地巡礼を促すような取り組みがされています。これによって、一度訪れた聖地を再度訪れるリピーターもいるそうです。

 先日、宮城県に出張した筆者は、「舞台めぐり」を使って、仙台周辺を舞台にしたアニメ「Wake Up, Girls!」の聖地スポットの撮影に挑戦しました。カメラが捉えるのは、アニメで何度も見たシーンのモデルとなった現実の風景。そこに、キャラクターの配置を自然に見えるように試行錯誤しながら調整すること数分間。無事満足のいく写真が撮れたころには、架空のキャラクターが実在し、一緒に現地にいるような感覚を覚えました。