GIIAS 2015の会場
図1◎GIIAS 2015の会場
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ジャカルタ市内の激しい渋滞
図2◎ジャカルタ市内の激しい渋滞
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 8月下旬に開催されたモーターショーを取材するため、インドネシアを訪れました。初めてのインドネシア取材ということもあり、「さすがインドネシア」と実感したことがいくつかありました。

 一つめが、同じ時期に別の場所で二つのモーターショーが開催されたことです。その二つとは、インドネシア自動車製造業者協会(Gaikindo)が主催する「GAIKINDO Indonesia International Auto Show (GIIAS) 2015」と、販売会社が主体の「Indonesia International Motor Show(IIMS)2015」です。

 初開催のGIIAS 2015は8月20~30日の日程で、ジャカルタ市郊外の南タンゲランにある新設のイベント施設で行われました(図1)。今年で23回目となるIIMS 2015が行われたのは昨年までと同じジャカルタ市内のイベント施設で、開催期間は8月19~30日でした。日系メーカーをはじめとする多くの自動車メーカーはGaikindoが主催するGIIAS 2015に出展し、新車やコンセプト車の発表もこちらの展示会を中心に行われました。そのため筆者も、GIIAS 2015を取材しました。

 日本であれば、「コストがかさむから」「来場者が混乱するから」といった理由で統合するかもしれません。しかし、インドネシアは違います。新車の即売会を兼ねる展示会が同時期に二つあれば、「売り上げの増加が期待できる」という声が会場の営業担当者から聞こえてきました。

 実際に二つの展示会の実績を合計すると来場者が約80万人、クルマの販売台数が約2万4000台、売り上げが約7兆4000億ルピア(約740億円)であり、いずれも昨年より増加しました。同時開催は「吉」になったようで、インドネシアのしたたかさを感じます。

 もう一つが、深刻さを増す交通渋滞との関係です(図2)。ジャカルタ市内はもちろん、ジャカルタ市と郊外の都市を結ぶ道路や、郊外の都市間を結ぶ道路も激しく渋滞していました。南タンゲランにあるGIIAS 2015の会場からジャカルタ市の中心部まで道路が空いていれば1時間以内で行けますが、渋滞すると3時間近くかかります。往復すると最悪の場合、ほぼ半日をタクシーの中で過ごす羽目になります。

 「これ以上渋滞が激しくなると、クルマが全く動かなくなるのではないか」と筆者は心配しましたが、ここでもインドネシアは違います。二つの展示会の期間中だけで、2万台を超えるクルマが売れました。景気低迷の影響で消費が冷え込んでいるインドネシアですが、渋滞にもめげずに「新しいクルマに乗りたい」という人々の意欲は旺盛です。こうした彼らの意志に、国の渋滞対策は追い付くのでしょうか。