「MT(手動変速機)とAT(自動変速機)、どっちに乗りたい?」と聞かれたら迷わずMTを選ぶ私ですが、一昨年に購入した現行スイフトは副変速機付きCVT(無段変速機)のモデルにしました。妻の運転免許証がAT限定だからです。妻が「そのうち、(私がいない日中でも)子供と買い物に出かけたい」と言うのでCVTを選びました。非MTのクルマを持つのは学生のとき以来の16年ぶりでした。

 購入したスイフトは1.6Lエンジンの自然吸気エンジンを搭載しています。このエンジンが気持よく回る。排気量と最高出力は前に乗っていたクルマのほぼ半分になってしまったのですが、車両質量が約3分2なのでパワー不足はそれほど感じません。足回りや車体の剛性もまずまずです。ただ、唯一しっくりこないのがCVTでの加減速。例えば発進のとき、MTに比べるともたつきを感じます。またカーブなどで減速するときも、イメージ通りの変速ができません。パドルシフト機構付きなのでシフトチェンジは可能ですが、ステアリングを回転するとパドルも一緒に回るので非常にやりづらい。最初は面白がってシフトチェンジをしていたのですが、使い勝手がよくないので使わなくなってしまいました。

 私のような「MT派だけれどATを選ばざるをえない」層(そんなに数は多くなさそうですが)が抱える、こうした加減速の不満を解消してくれそうなのが多段のステップATです。4速からスタートしたステップATはどんどん多段化が進み、今では9速が実用化されています。例えばZF社が開発したFF(前部エンジン・前輪駆動)向け9速AT「9HP」は、英Jaguar Land RoverグループのSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「レンジローバー・イヴォーク」などに搭載されています。またFR(前部エンジン・後輪駆動)向けでも、ドイツDaimler社が開発した9速AT「9G-TRONIC」が同社の「Cクラス」や「Eクラス」の一部モデルに搭載されています。