BAStは、システムの限界を調べるための試験も検討中です。具体的には、曲線道路における車線維持機能の評価や、車線の合流地点における車両の制御、障害物で車線変更を必要とする場合の対処、動物の飛び出し対応など(図6)。こうした試験により、システムによるクルマの制御が困難になった場合に運転権限を運転者に移行する基準や、短時間に対応が求められる緊急時における対応などを議論していきます。

図6 車線の合流地点における車両の制御を評価する試験案。
図6 車線の合流地点における車両の制御を評価する試験案。
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 アセスメントの試験項目は多岐にわたるため、策定には長い期間を要するとしています。実際に2024年から試験を実施できるのか、まだ明確に決まっている訳でもありません。しかし、この取り組みで自動運転の基準が設定できれば、自動運転の定義を現実的なものにできる可能性があります。曖昧だった自動運転がより具体的になり、安全性の向上や開発の促進も期待できます。

 帰省中、父に自動運転を理解してもらうことは叶いませんでしたが、アセスメントの議論が進めば世の中でも自動運転への理解が進むでしょう。筆者も自動車担当の記者として、自動運転の正確な情報を発信していくよう心掛けようと思います。まずは、間違っても簡易的な自動運転で父が手放し運転しないよう、きちんとハンドリングしていかなければ。