お盆休みに実家へ帰省して家族とドライブしているときのこと。クルマを運転する筆者に、助手席の父が質問してきました。

父 「雅哉、好きなクルマを買えるとしたら、お前は何のクルマを選ぶんだ?」
筆者「やっぱり自動運転の機能が付いたA社のクルマかな」
父 「自動運転か。じゃあそのクルマに乗れば、コレできるのか!(手放し運転の身振り)」
筆者「いやいや、まだ手放し運転できるクルマはないよ」
父 「えっ、自動運転なのにダメなのか!?」
筆者「自動運転でもレベルがあって、もっとレベルが高くならないとダメだね」
父 「なんだその『レベル』は?テレビのCMではハンドルを勝手に切ってくれてたぞ」
筆者「カーブの少ない高速道路ならある程度切ってくれるけど、まだまだ完全じゃないしね。それにレベル3以上じゃないとドライバーが事故の責任を取らないといけないよ」
父 「なんだか複雑でよく分からんな・・・」

 心なしかガッカリした様子の父。「自動運転=即、手放しOK」ではないことを知って、自動運転に寄せる“期待”が裏切られたからでしょう。その様子を見た筆者は、「自動運転」という言葉に対する誤解が世間で広まっていることを肌で感じました。

 現段階で、手放し運転して良いクルマは販売されていません。量産車に搭載されている半自動運転機能はあくまで運転者を支援するものです(図1)。この場合、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が定める自動運転の基準で言えば「レベル2」に該当します。

図1 Tesla社の「Model S」(左)と、自動運転機能である「Autopilot」の表示(右)。同社は、業界内でいち早く「レベル2」の簡易的な自動運転機能(運転支援機能)を車両に搭載した。
図1 Tesla社の「Model S」(左)と、自動運転機能である「Autopilot」の表示(右)。同社は、業界内でいち早く「レベル2」の簡易的な自動運転機能(運転支援機能)を車両に搭載した。
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