日経デジタルヘルスは2016年の注力テーマの1つに「製薬業界×デジタルヘルス」を掲げています。これまでデジタルヘルスとの接点が強いとは言えなかった製薬企業各社がここにきて、雪崩を打ったようにこの分野に参入し始めました。ヘルスケアベンチャーなどの知見を取り込み、医薬品の提供という従来のビジネスの枠組みを超えた新しい価値提供を目指す動きが相次いでいます(関連記事1同2)。

 同様の動きが目立つのが、保険業界です。保険といえば従来のイメージは“万一の備え”。消費者の日々の生活やライフスタイルとの接点が強いとは言えませんでした。ところがここに来て、“健康”を切り口に加入者との距離を縮める取り組みを、保険会社がこぞって始めているのです。

 マニュライフ生命保険は2016年5月、歩くことを促すスマートフォンアプリを活用した健康増進プロジェクトを開始(関連記事3)。同年6月にはノーリツ鋼機子会社の健康年齢少額短期保険が“健康年齢”と保険料を連動させる医療保険の提供を始めました(同4)。このほか、住友生命保険やソフトバンクなど3社が保険加入者の健康増進を支援するプログラムでタッグを組み、メットライフ生命保険はハビタスケアおよび東京大学と、人工知能などを活用した疾病予防サービスの開発に乗りだしました(同5同6)。

 各社は保険との連動を視野に入れつつも、まずは健康をサポートするという形で加入者の日常に近付こうとしています。その姿は、医薬品との連携にはこだわらない幅広いテーマで、デジタルヘルスへ斬り込んでいる製薬業界とダブります。ビジネスのあり方を中長期的に大きく変えていくインパクトを、両業界がデジタルヘルスに感じていることの表れでしょう。

 まずは自社の社員から――。デジタルヘルス分野で米Fitbit社と組み、その第1弾として社員3000人弱がウエアラブル端末を着けて日々の活動データを集めるトライアルを行っているのが、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険です(関連記事7)。同社は顧客の健康増進を応援する企業になることを掲げ、健康サービスブランド「Linkx(リンククロス)」を2016年9月に立ち上げます。ブランドまで立ち上げる気合いの入れようには、どのような理由があるのか。

 日経デジタルヘルスが2016年9月14日に開催するセミナー「医療ビッグデータ2016秋」では、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の担当者が登壇し、「保険ビジネスをビッグデータで変革する」と題してデジタルヘルス分野の取り組みについて語ります(関連記事8)。ぜひ会場に足をお運びいただき、「保険業界×デジタルヘルス」の息吹に触れていただければ幸いです。