日産自動車の矢島和男氏
日産自動車EV・HEV技術開発本部アライアンスグローバルダイレクターの矢島和男氏
2015年5月上旬、韓国・ソウル近郊で開催された電動車両関連のシンポジウム「EVS28」で講演する同氏。
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 電気自動車(EV)で最大の課題とされてきたのが充電1回当たりの航続距離です。そのため、同距離を延ばそうと、EV用電池のエネルギー密度向上に多くの電池メーカーがしのぎを削っています。エネルギー密度を高くすることで、電池をより軽く小さくし、電池コストを下げながら搭載可能な電池容量を増やそうとしているわけです。

 実際、米Tesla Motors社の高級EV「Model S」では85kWhという大容量の電池を積むことで同距離を約500kmに延ばすことに成功しています。もっとも、それよりも価格帯の低いEVでは、車両も小さいし電池に掛けられるコストも限られるため、上記のような電池の進化が求められています。そして、2010年代後半に、そうした進化型のEV用電池が実用化されると見られています。

 ただ、その進化型電池を使ってEVに搭載する電池の容量を増やした場合、それだけ充電時間が延びるというのが、一般的に言われてきたことです。実は、これ、正しくもあり間違ってもいるというのが本当のところです。

 筆者は、2015年5月上旬、韓国・ソウル近郊で開催された電動車両関連のシンポジウム「EVS28」に取材に行きました。そこでお会いする機会があったのが、日産自動車EV・HEV技術開発本部アライアンスグローバルダイレクターの矢島和男氏です。同氏は、EVにおける電池の大容量化と充電時間について誤解があると、教えてくれました。