「さすが、クルマ1台分。こんなに部品があるんだ」--。2016年2月上旬、広島国際学院大学自動車短期大学部の実習場で開催された「分解部品展示見学」の会場に訪れたときの、偽らざる第一印象です。
目の前に並べられた多数の部品は、トヨタ自動車が2015年12月に発売した新型ハイブリッド車「プリウス」(ZVW50系)のものです。実は、これらは広島県が2009年に開設した「ベンチマーキングセンター利活用協議会」と公益財団法人ひろしま産業振興機構カーテクノロジー革新センターが、広島国際学院大学自動車短期大学部の協力を得て実施しているベンチマーキング活動の“賜物”です。小さなねじまで含めると、クルマは約3万個の部品からできている――と言われていますが、さすがに多くの部品が目の前に並ぶと圧巻です(実は、既に別の場所に移動されてここにはない部品も…)。
私がこの見学会に訪れた目的の一つは、これらの部品をカメラに収めることです。そこには幾つかのハードルがありました。一つめは、わずか3時間ほどでそれを果たさなければならなかったことです。これらの部品の一部は、今回のベンチマーキング活動に参加された企業の方が持ち帰ります。従って、この制限時間内に撮影しない限り、その後の撮影は難しくなるということでした。
もう一つは、できる限り部品名をメモしながら撮影を行わなければならなかったことです。正直にいうと、これだけバラバラになっていると、何の部品なのか分からないもの少なくありません。周辺部品から類推するも、専門家でなくては推測が難しい部品が数多くありました。