「なんでだろう?」。疑問に感じて最近、考えたことがあります。コンビニにも置かれる「菓子パン」とケーキ屋さんの「ケーキ」の価格差です。どちらも、小麦、卵、牛乳などがベースに使われているので、原材料はほぼ同じです。もちろん、ケーキの方には厳選された材料が使われたり、果物などが載っていたりして、その分原材料費は上がるのでしょうが、それが理由で、最終価格で数倍~10倍もの価格差になったりしないのではないかと思ったのです。

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 この価格差の根底にあるのは何か。その理由を考えると、菓子パンは日常の食べ物であるのに対し、ケーキは非日常の食べ物であるという結論に行き着きます。自分のために毎日買うような物には、高い値段は払えない。だから、菓子パンは100円程度になってしまうのです。

 でも、ケーキは、手土産や、家族の誕生日、自分へのご褒美など、非日常のための食べ物です。だから、買う側も高くても買います。いやむしろ、高ければ高いほうがいいとさえ言えます。自分の誕生日に家族から100円のケーキを贈られたら、「自分は大切に思われていないのではないか」とがっかりするのは間違いありません。この非日常性を演出するため、ケーキにはさまざまなデコレーションが施され、高級感の漂う箱に収められます。

 このケーキと菓子パンの事例が示しているのは、同じ原材料で作られたものであっても、売り先を変え、見せ方を変えれば、同じものでも価値を高められるということです。