5月中旬ころ、ソフトバンクから「Pepperの新たな展開に関する記者発表会」というものをいただいた。

 以前、ソフトバンクロボティクスの幹部の方にインタビューさせていただいた際、「現在のPepperが完成形だとは思っていない」と聞いていたこともあり、筆者は今回、新型Pepperの登場を予想していた。

 しかし、蓋を開けてみると、実際に発表されたのは、「PepperのAndroid対応」というものだった(関連記事)。「なるほど、そう来たか」というのが正直な感想である。

 確かに今の段階でPepperのハードウエア面をテコ入れをするよりも、開発者のすそ野を広げるAndroid対応という施策は合理的なのだろう。

 法人向けでは導入企業が500社を超えたというPepperだが(関連記事)、必ずしもストア上のアプリが充実しているとは言いがたい状況である。豊富な開発者を抱えるAndroidと連携すれば、開発者人口は少なくとも今よりは増えるのだろう。

 PepperのAndroid対応は、どうやら胸のタブレットをAndroidにすることで実現するらしい。もともとPepperの胸のタブレットは、頭部にあるAtom CPUの外部モニタとして使われている。

 ただし、内部は本物のタブレットとほぼ同様の構成になっており、韓国LG CNS社製のARMベースのタブレットになっている。Pepperの無線通信機能は、頭部のPCに接続された無線LANモジュールが担っているが、胸のタブレットにはそれとは独立に無線LANチップまで内蔵されているほどだ。

 こうしたハードウエア構成を踏まえると、今回のAndroid対応はソフトウエアアップデートのみでも実現できそうにも思えるが、実際にはソフトバンクは既存のユーザーに対し、ハードウエアの換装を予定しているとのことである。「ハードウエアの換装が不要」であれば、Android対応はPepper投入当初からの既定戦略だったのかもしれないが、どうやらそこまで予見していた訳ではなさそうだ。