「お姉さんのクルマ、オムツ替えもできるし、いいよね」

 先月、九州の実家に帰省した後、妻から私がずっと恐れていた一言がありました。姉家族が所有しているのは日産自動車のセレナ、8人乗りの3列シートや電動式のスライドドアといったファミリー層に受ける機能がてんこ盛りです。

 一方、私が一昨年に購入した「スイフトスポーツ」は、こうしたファミリー層受けの機能はほとんどなく、トランクのスペースもベビーカー1台を載せるのがやっと(しかも工夫して載せないとバックドアが閉まりません)。「買ってしまえばこっちのもの」と思っていましたが、ミニバンの便利さを知った妻がいつ「不便なので買い替えたい」と言い出さないか、戦々恐々としています。

“猫も杓子も”自動運転と燃費改善では…

 さて、ミニバンの便利さを妻に教えてしまったそのセレナですが、2016年夏にフルモデルチェンジを予定しています。この次期モデルでは、「パイロットドライブ1.0」と呼ばれる高速道路向けの自動運転機能が搭載されると言われています。ステリングとアクセル、ブレーキを自動制御して先行車に追従する機能です。渋滞などでクルマが完全に停止した場合、先行車が発進したときに運転者がボタンを押したりアクセルを踏んだりしなくても自動で発進するなどの特徴があります。連休時の大渋滞に疲れた人や、高速道路の運転に不慣れな人に大いに受けそうです。

 セレナの次期モデルに限らず、自動車業界では今、自動運転車の話題が「燃費改善」と並んで“花ざかり”です。自動運転や燃費改善に関連する新技術のニュースが毎日のように飛び交っています。たしかに自動運転はクルマのあり方や人々の生活を大きく変える可能性がありますし、技術系の記者としても魅力的な話題です。また多くの消費者にとって燃費が大きな関心事であることも分かります。しかし、いちクルマ好き(というより運転好き)として見ると「“猫も杓子も”自動運転と燃費改善」という現状に、何だかモヤモヤとしたもの感じていました。