PHEV向けには、アンダーフロアーに電池を敷き詰めて配置できるようにしたほか、後席下の水素タンクはガソリンタンクに置き換えられるようにしています。

 もちろんホンダのFCVは電動部品の共用化も図っています。FCVのリチウムイオン電池セルは「アコード」、駆動用モーターは「フィットEV」と共用化しています。フィットEVの駆動用モーターは、径が短く、軸長が長いため、エンジンルームの高さを抑えることができたといいます。

 一方のトヨタ自動車は、ミライとPHEVでプラットフォームの共用化はしていません。2015年末に導入した、セグメントを超えて部品を共用化するTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の対象は4代目「プリウス」からであるためです。ミライは一足先に登場したのです。

 TNGAでは、ガソリン車からPHEVまでプラットフォームを統合します。このため、トヨタのPHEVの本命とみられる次期「プリウスPHV」(ニューヨークモーターショーで公開)は、2015年12月に発売した4代目プリウスのプラットフォームがベースになります。量産車のプリウスをベースとすることで、より低コスト化が狙えそうです。

 燃料電池スタックの配置を巡っては、トヨタが床下であるのに対してホンダはエンジンルームに収めて汎用性を確保したことを強調しています。ただ、ホンダのFCV普及策の裏には、電池を床下に大量に積めるPHEVも同時に狙う、という関係が見えます。

 FCVの詳細や方向性について、まだ見えていない部分が多いのも事実です。弊社は2016年4月11(月)に「自動車未来サミット2016 Spring」を開催し、ホンダのFCV開発責任者の清水潔氏と議論を深めたいと考えております。