「BOE」という会社をご存じですか?

 2017年1月、大型TFT液晶パネル出荷数で初めて世界首位となった中国のパネルメーカーです(関連記事:「中国BOEが大型パネル出荷数で初の首位、IHS Markit調べ」)。液晶といえば、「シャープ」や韓国の「Samsung」「LG」といった企業名を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、今回のランキングで2位はLGで、Samsungは5位、シャープはトップ5に入っていません。BOEはこうした名だたる企業を抑えて、1位を獲得したわけです。液晶業界でも、半導体と同様に“プレーヤーの交代”が顕在化しているのです(関連記事:半導体、空前の活況の背景)。

 今後普及が進むと予想される「65型8K」の超大画面・超高精細テレビの市場。この新しい市場で、BOEを始めとする中国企業が、シャープやSamsung、LGに取って代わる可能性は高い。それどころか、今後の世界の液晶事業の主導権を握る可能性すらあります。積極果敢な投資計画のもとで、第8.5世代以上の大型テレビ用の新工場を矢継ぎ早に建設しており、競合他社を圧倒できる量産規模を持つようになるからです。

 BOEは、2014年第1四半期に安徽省合肥市、2015年第1四半期に四川省重慶市で、それぞれ第8.5世代工場を稼働させました。さらに、2017年は福建省福州市で第8.5世代工場、2018年は合肥市で第10.5世代工場を稼働させる計画です。一連の積極果敢な投資が、BOEを液晶世界一の座に押し上げつつあります。

 合肥市の第10.5世代工場は2015年12月2日に着工し、現在建設中です。敷地面積は東京ドーム17個分。総投資額は400億人民元(約7000億円)で、2018年第2四半期に生産を開始する計画です。最大の特徴は、3370mm×2940mmという世界最大寸法のガラス基板を使うこと。特に75型や65型の液晶パネルの生産効率が高まります。これにより「65型8K」の超大画面・超高精細パネルの製造コスト力で競合他社を圧倒する考えです。