液晶の設備投資を牽引する中国の大型テレビ市場

 そんなに液晶パネルの生産能力を増やして、供給過剰に陥らないのか。自分の首を絞めることにならないのか。そんな疑問が湧いてきますが、BOEは逆に「液晶パネルの生産能力の増強が今後も必要」と考えています。

 その理由の1つが、65型8Kテレビの普及に象徴される、液晶テレビの画面サイズの大型化です。「液晶テレビの平均サイズが1インチ大きくなるインパクトはとても大きい。2億台のテレビ市場が新たに生まれることに匹敵します。第8世代の液晶パネル工場が新たに1本必要になります。液晶テレビの画面サイズは、今は40型が中心ですが、これが50型、そして60型へと大型化していくでしょう。2018~2020年には65型の需要もかなり増えるとみています」(中国BOE社副総経理/BOEジャパン社長の久保島力氏)。

 果たして、65型8Kテレビは本当に売れるのか。「そもそも家に入らないじゃないか」という話を、日本ではよく聞きます。

 「世界のテレビは、65型8Kが普通の時代になる」とそんな声を一刀両断するのが、東海東京調査センターのアナリストの石野雅彦氏です。理由は明快で「液晶の今後の設備投資を牽引するのは中国の大型テレビ市場。その中国で『65型8K』の液晶テレビが売れると目されている」(同氏)。

 プレーヤーが大幅に入れ替わり、市場が変革しつつあります。シャープやSamsung、LGといったこれまでの主役企業の動向を知るだけでは、将来を見誤る危険があります。BOEのような“新プレーヤー”が何を考えているのか。彼らの動きに注目するのが極めて重要になってきました。

 こんな危機感から今月末、2017年3月28日に緊急セミナーを企画しました。「自動運転やAIを牽引する半導体・ディスプレー新時代」。ご紹介したディスプレー業界の新プレーヤー「BOE」に加え、半導体業界の新プレーヤーである「ARM」や「Xilinx」のキーパーソンを一挙に集め、各社の戦略を語ってもらいます。半導体・ディスプレー業界に詳しいアナリストの石野雅彦氏(東海東京調査センター)と大山聡氏(IHSテクノロジー)にもご登壇いただき、詳しい分析や、今後の展開についてたっぷり語っていただきます。年度末でお忙しい折ですが、是非ともご参加下さい。