最近、興味深いヘルスケアベンチャーを取材する機会がありました。その名はライフセンスグループジャパン。日立製作所の半導体事業部を経てベルギーの半導体研究機関IMECの日本代表を務めていた米山貢氏が2015年、同僚とオランダで立ち上げたLifeSense Group社の兄弟会社です。

 同社が手掛けるのは、ウエアラブルセンサーと女性用下着、スマートフォンアプリなどで構成する「Carin(カリン)」と呼ぶ製品。とりわけ女性に多く、出産直後の女性の3人に1人が悩まされているとの推計もある“尿漏れ”の症状改善につなげるツールです(関連記事)。

 半導体技術をヘルスケアに応用することを志してLifeSense Group社を創業した米山氏は、日立製作所時代の同僚などに声を掛け、ライフセンスグループジャパンを設立。同社には半導体技術者のほか、人気の証券アナリストとして活躍してきた人物なども在籍しています。

 筆者が日経エレクトロニクス誌の記者として半導体分野を担当していた数年前、「半導体技術者、越境のとき」と題する特集記事を執筆したことがあります。当時、国内の電機業界にリストラの嵐が吹き荒れ、多くの半導体技術者たちが行き場を失っていました。そんな中、記事ではまったくの異分野に飛び込み活躍する半導体技術者たちの姿を取り上げました。

 経緯は異なりますが、ライフセンスグループジャパンのメンバーもまさに、半導体業界から越境し、女性向けヘルスケアサービスという新たな領域に飛び込んだ形です。疾患対策用の下着となると、一般にはデザイン性などは後回しにされがち。そんな中、同社のメンバーは下着の“機能性とセクシーさをどう両立するか”といった課題に頭をひねったそうです。

 2017年2月にドイツで開催されたウエアラブル技術関連のイベント「Wearable Technologies Conference 2017 EUROPE」。そこではCarinが、Innovation World Cup AwardのHealthcare&Wearable部門で見事、最優秀賞を受賞しました。

 Carinの詳細については、近く日経デジタルヘルスの企画記事で紹介予定です。半導体技術者たちが今、女性用下着にどのような情熱を注いでいるのか。ぜひご一読ください。