ニャーンガリガリプーン。

 朝6時。カーテンからこぼれる柔らかな光。小鳥のさえずりで目が覚める——。そんな淡い期待は簡単に打ち砕かれた。毎日のことだ。

我が家の暴君
我が家の暴君
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 どうやら今日は、「ガリガリ」で起こされたようだ。モフモフした茶色の鋭い爪が、私の肩を叩いていた。「メシ!」。彼の要求ははっきりしている。猫だもの。

 いつもはここで布団を出るのだが、ちょっと意地悪をしたくなった。二度寝のふりをして、目を薄く閉じた。

 彼はしばらくこちらを凝視した後、「ニャーン」と物欲しそうに鳴き始めた。人間にエサを出させる作戦の、“その一”だ。「ニャーン」が空振りすると、作戦“その二”へ移行。爪を立てて「ガリガリ」を始めた。