先日(2017年2月14日)、東芝の記者・アナリスト向け会見に出席した。会見では、2016年度第3四半期決算報告書の提出期限延長を財務局に申請して認められたこと、2016年度第3四半期および2016年度業績の見通しなどが発表された(説明会資料)。

 すでにいろいろなメディアで報道されているのでご存じの方も多いとは思うが、提出期限延長の理由は「ウェスチングハウス社によるCB&Iストーン&ウェブスター社(S&W社)の買収に伴う取得価格配分手続の過程において内部統制の不備を示唆する内部通報があり」、「四半期連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があると判断」(リリース:PDFより引用)したことである。

会見での綱川智社長
会見での綱川智社長
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 会見ではこのほか原子力事業における損失発生の概要と対応策も説明された。その1つであるメモリー事業の売却・分社化は、これまで20%以下としていた株式の売却方針を変更して保有株式50%を超える外部資本の導入を検討する方針が明らかにされた(関連記事「東芝、メモリー事業でマジョリティー譲渡を含む外部資本導入を検討」)。

 次の節目は、延長申請が認められた第3四半期決算提出期限の3月14日である。東芝は2015年に発覚した不正会計によって東京証券取引所の「特設注意市場銘柄」に指定されており、3月15日までに内部管理体制確認書を東証に提出して承認が得られなければ、そのまま「監理銘柄」に指定される可能性が高い。それ以前に、3月14日の発表で債務超過になることが確定すれば上場廃止基準に抵触してしまう(日本取引所グループの上場廃止基準)。