2年に1度の診療報酬改定を2016年4月に控え、保険適用対象の見直しなどに関する議論が中央社会保険医療協議会(中医協)で進んでいます。今回の改定ではいわゆる“デジタルヘルス”の領域に属する、テクノロジーを活用した医療行為への保険適用が相次ぎ決まっています。従来は研究や実証実験が主なフィールドだった先端技術が、今まさに医療の臨床現場へと浸透しようとしているわけです。

 2016年1月20日には、これまで先進医療の扱いだったがんの「粒子線治療」への保険適用が決まりました(関連記事1)。小児がんに対する陽子線治療と切除非適応の骨軟部がんに対する重粒子線治療に限っての適用ですが、先進医療に10年以上とどまってきた状況からは大きな前進です。

 粒子線治療については、保険適用どころか先進医療の対象から外すことを含めた検討が「先進医療会議」で進められてきました。従来の治療法に対する優位性を示すことができていない、というのがその主な根拠。保険適用が決まった症例以外では、依然としてこの点が課題です。より幅広い症例に対する優位性を検証するためのデータ集積や臨床試験をどのように進めるか、この先の取り組みに注目したいと思います。