変哲のない休日のこと。筆者が都心で買い物をしていたとき、とある洋食屋の看板が目に留まりました。「当店のメニューはどれもボリューム満点!数人での“シェア”もおすすめ!」。数人でシェアする料理のボリュームとはいかほどなのか。非常に気になるところでしたが、あいにく昼食後だったため、筆者の胃袋のメーターは「E」ではなく「F」。次回の入店を心に決めてその場を後にしました。

 ボリュームだけでなく、看板でうたう「数人でのシェア」の言葉も気になります。確かに近年、多人数で一つの料理をシェアする光景をよく見ます。料理のシェアと言えば、真っ先に思い浮かぶのが「女子会」でしょうか。女性のみでテーブルを囲んで料理をシェアしながら、本音トークに花を咲かせる。会話の内容が非常に気になるところです(図1)。

図1 一つの料理を複数人でシェアする
図1 一つの料理を複数人でシェアする
[画像のクリックで拡大表示]

 思い返せば、「シェア」という言葉が頻繁に聞こえはじめたのは数年前だった気がします。シェアハウスに住む男女の関係を描いたテレビ番組が人気を博したのも、ちょうどその時期だったような。

 今やシェアする対象は、料理や家など形あるものにとどまりません。スマートフォン(スマホ)の通信可能量やポイントを家族でシェアする使い方、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上でも、友達の投稿をシェアして拡散させるなど、シェアという言葉は、私たちの生活の中でごく当たり前に使われるようになっています。

 そして「カーシェアリング(カーシェア)」を代表とするモビリティーのシェアも、他のシェアに負けじと勢いを増しています。