2015年、世界の電子部品サプライチェーンの構造は大きく変わった。従来の世界電子部品産業の競争地図を見ると、米国・韓国・日本・台湾が市場を四分していた。生産額と地域別シェア(図1)を見ると、米国はコネクター市場で他を大きくリード。韓国は太陽電池モジュール分野でトップを独走。日本は受動部品とLEDの技術で市場をリードする存在となっている。台湾はプリント基板分野で高い技術力を持ち、世界シェアは35%。プリント基板以外では、受動部品、コネクター、太陽電池モジュール、LEDの主要4部品の供給地域として台湾は世界で3本の指に入っており、電子部品分野においてその競争力を維持していた。

米・韓・日・台の4大勢力の構図に変化

 しかし、「レッドサプライチェーン」と呼ばれる中国の台頭により、電子部品の業界地図は激変した。中国企業はここ数年の積極攻勢で太陽電池モジュールとLEDの分野で急速な追い上げを見せている。2014年の世界シェアはそれぞれ12.4%と16.0%に達し、日・韓・台の先発国に迫る勢いだ。

 中国企業は今後、政策面と市場面から受ける追い風により、太陽電池モジュールとLEDの分野でさらに勢力を拡大することが見込まれる。さらに、プリント基板、受動部品、コネクターなど、比較的弱かった分野においても、攻勢を強めることが予想される。これまでの主要4地域 (米・韓・日・台)が高いシェアを持っていた電子部品産業の構図は、今後数年で、がらりと変わるかもしれない。

図1 米・韓・日・台の電子部品4大国のバランスシフト
図1 米・韓・日・台の電子部品4大国のバランスシフト
出典:工業技術研究院IEK(2016年4月)
[画像のクリックで拡大表示]