EMS(電子機器受託製造サービス)、ODM(Original Design Manufacturer)大手の本社が集積する台湾で最近話題を集めたのは、なんと言っても米Apple社がディスプレーの研究開発センターを台湾に設立していた、ということだろう。総合情報サービス会社の米Bloomberg社が2015年12月15日付の記事で事情に詳しい複数の関係者の話として伝え、瞬く間に世界に広まった。

 同記事によると、研究開発センターの場所は台湾新竹サイエンスパークの龍潭パーク。同パーク内にあるかつて米Qualcomm社が使用していた施設で、そのQualcomm社で働いていた人材や、台湾のディスプレー大手AU Optronics社(友達光電)に在籍した技術者など少なくとも50人が、Apple社のスマートフォン(スマホ)「iPhone」やタブレット端末「iPad」、パソコン(PC)「Mac」などに向けた新型ディスプレーの開発に取り組んでいるというもの。

 さらにこの記事は、Apple社が有機ELへの移行に積極的だとし、独自にディスプレー技術を開発することで、現在、Apple社にディスプレーを供給する主力業者であるジャパンディスプレー、シャープ、韓国Samsung Electronics社、韓国LG Display社への依存を減らすことができる、書いた。

 Apple社がiPhoneのディスプレーに有機ELを使うとの観測については『日本経済新聞』が2015年11月26日付で報じて、これも世界中で話題になった。2018年版のiPhoneから搭載を計画しており、既に複数の部品メーカーに意向を通達、これを受けLG Display社が韓国北西部のパジュ工場に日本円で数千億円規模の大規模な有機EL生産ラインを設けるとしている。また、韓国紙『The Korea Times』は日経の報道に先立つ2015年11月22日付で、韓国業界筋の話として、Samsung Electronics社が2018年前後にiPhoneへ有機ELを供給することについてApple社と交渉を持ったと伝えている。