「iPhone 8/8 Plus」が売れていないのだという。

 iPhone 8/8 Plusとは言わずと知れた、米Apple社が2017年9月末に販売を始めた最新モデルのスマートフォン(スマホ)のこと。台湾紙『蘋果日報』(同年10月17日付)によると、証券会社の米KeyBanc Capital Markets社が顧客向けに出したレポートで、米国では現在、iPhone 8/8 Plusよりも前年モデルの「iPhone 7/7 Plus」の方が売れていると報告した。その理由について同レポートは、iPhone 8/8 Plusに前年モデルから目に見えるような変化がないことや、iPhone 8/8 Plusの登場に伴い、iPhone 7/7 Plusの価格が安くなったことを挙げている。

 確かに価格はiPhone 7が日本で6万1800円(税別、以下同じ)から、iPhone 8が7万8800円からと1万7000円の開きがある。見た目も特に前面の印象はほとんど変わらない。ただ、iPhone 8/8 Plusは筐体がガラス製になり、iPhone初となるワイヤレス充電への対応、同社のパソコン「MacBook 2017」をベンチマークテストで上回る処理速度を誇る「A11 Bionic」チップの搭載等々、実際は先代と異なる部分も少なくない。

 iPhone 8/8 Plusが売れない最大の理由は、10周年記念モデル「iPhone X」の発売が2017年11月に控えているからだろう。iPhone XのディスプレーにはiPhoneで初めて有機ELが採用される他、デザインも、スマホのこの先数年のトレンドになると言われるアスペクト比18:9の縦長フルディスプレー型、生体認証も2013年モデルの「iPhone 5s」から採用されてきた指紋認証を廃し、これもiPhoneで初めてとなる顔認証を搭載。見た目、機能共、大幅な変更が加えられている。iPhone 8/8 Plusに採用されている機能でiPhone Xに無いのは指紋認証機能ぐらいのもので、ワイヤレス充電、ガラス製筐体、A11 Bionicチップは全てある。価格は11万2800円でiPhone 8/8 Plusよりもさらに高いが、「どうせならさらに高機能の10周年モデルを買いたい」としてiPhone Xを待ち、iPhone 8/8 Plus購入を見送る人が予想以上に多いということなのだろう。