ソニーが2016年10月13日、ヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)型のVR(仮想現実)端末、「PlayStation VR」(PS VR)を発売した。PS VRは調査会社や金融機関のレポートで、早くから2016年におけるVR世界市場の目玉と目されていた。それだけに大本命の登場によりVR市場の拡大が一気に進むのかどうかに世界中の注目が集まっていると言っても過言ではない。中国や台湾のメディアも、PS VRのアセンブリー受注を独占したと見られる台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕をはじめ、放熱モジュールの台湾TaiSol社(泰碩)、コネクターの台湾Speedtech社(宣徳)、ヒートスプレッダーの台湾Jentech社(健策)などを、PS VR登場で株価上昇が期待できる関連銘柄として連日のように取り上げている。

 さて、VRの市場拡大ということで言えば、外せないのが中国だ。13億という世界最大の人口だけでなく、GDP(国内総生産)も米国に次ぐ世界第2位と、経済規模の上でも大国になった。VR端末普及を牽引する大きな原動力の1つであるゲーム市場も、2015年末時点における中国のゲーム人口は前年比3.3%増の5億3400万人、ゲーム産業の売上高は同22.9%増の1407億元(1元=約15.4円)、日本円で2兆円市場にまで拡大している〔CNG社(中新遊戯研究)調べ〕。

 こうした中、中国のVR端末メーカーMojing社(暴風魔鏡)が、「2016年上半期の中国VRユーザー行動研究」と題するレポートをまとめ、2016年10月9日に公表した。この調査はMojing社が中国政府系シンクタンクの中国国家広告研究院、調査会社のSocialBeta社(知萌咨詢)と共同で行ったもの。

 Mojing社の製品はスマートフォン(スマホ)をVR端末に装着して使うHMD型で、価格は199~499元。スマホゲームやソーシャルゲームの他、3D対応ストリーミング動画の視聴、VRショッピングにも対応するようだ。同社の調査結果の中から、同社が興味深い結果として取り上げたものを中心にいくつか紹介してみることにしよう。