前回のこのコラムでは、米Apple社のスマートフォンで2015年の旗艦モデル「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」のことを取り上げ、前評判は低かったが、発表会を経て実機が公開され実際に手に取って試した人が増えるにつれ、評価が上がりつつある、ということを書いた。この原稿を書いている2015年9月25日、iPhone 6sシリーズがいよいよ発売される。私の住む中国は米国や日本と並んで発売第1弾の国・地域に入ったので、今日の午後にでも上海市内のApple Storeで私も実際に触れてこようと思っている。

 Apple社は、iPhone 6sシリーズを発表した2015年9月10日(日本時間)のイベントで、タブレット端末「iPad」の新サイズで12.9型の「iPad Pro」を同時に発表した。私の持っているiPadは2012年3月の発売と同時に手に入れた第3世代。3年半も使うとさすがに動作はモッサリしているし、複数のアプリを並べて使えるマルチタスキングや、Apple社の端末同士でファイルを無線でやり取りできる「AirDrop」など、この3年半のOSアップデートで追加された便利な新機能に端末が古すぎて対応しないことが多々ある。それでも使い続けているのは、この日経テクノロジーオンラインのコラムをはじめ、原稿の校正時にPDFの上に直接手書きで修正を書き込めるiOS(iPhone・iPad対応のOS)アプリ「MetaMoji」を使いたいがためのことだ。

12.9型のタブレット端末「iPad Pro」と「Apple Pencil」
12.9型のタブレット端末「iPad Pro」と「Apple Pencil」
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 私はこのアプリを、iPadとiPhone 6の両方に入れている。2014年に発売されたiPhone 6でiPhoneのスクリーンサイズがそれまでの4型から4.7型に拡大されたことにより、誤字の修正や1行程度の書き直しならば、iPhoneのスクリーンでもストレスなく作業ができるようになった。しかし、段落を入れ替えたり、数行分の加筆など大幅な修正の要が生じた場合、やはり4.7型の画面では限界がある。そこで、9.7型ディスプレーを持つiPadが重宝するとうわけだ。

 ただ、iPadを使っての校正にも不満がないわけではない。紙の校正紙にペンで書き込む方が、PDFに、アプリに搭載されているテキスト入力機能や指で書き込むよりも、手軽さと速度、すなわち作業効率の点で優れていると感じるためだ。