一例を挙げると、台湾紙『自由時報』(2015年8月11日付)によると、Appleウオッチャーとして欧米でも著名なアナリスト、郭明錤氏が在籍する台湾KGI証券(凱基)は同月10日のレポートで、前モデルのiPhone 6と6 Plusの出荷台数が2014年9月の発表から同年末までで合わせて7300万台だったのに対し、iPhone 6sと6s Plusは、2015年9月の発表から同年末までの期間で、最も好調な場合で7500万台が期待できるものの、悪ければ6500万台と前年同期の実績を800万台も割り込む恐れがあると予測。理由として、感圧センサーが革新的なユーザー体験を提供できないことと、中国市場で消費が弱まっていることの2点を挙げた。特に、iPhone 6と6 Plusの出荷を牽引する原動力となったのが、2014年第3四半期から2015年第2四半期にかけての中国市場だったとした上で、2015年に入って中国でスマホ需要が弱まっている他、夏以降の上海市場における株暴落が新型iPhoneの消費に影響する恐れがあるとの見方を示した。

 また、台湾紙『蘋果日報』(2015年8月6日付)によると、台湾の投資会社、富邦投顧は同月5日のレポートで、Apple社が組立・部品業者に対し、iPhoneの発注台数を1割削減、これにより2015年第4四半期のiPhone出荷台数は7000万台にとどまり、前年同期の7450万台を下回るとの見方を示した。削減の理由にはKGI証券同様、中国経済の減速、上海市場の株価暴落、iPhoneに搭載される新機能が革新性に欠け消費者にウケないなどの点を挙げていた。

 ところが、iPhoneの台湾系サプライチェーン発とする楽観的な見方が発表前日に出て注目を集めた。伝えたのは調査会社DIGITIMES社のDIGITIMES Researchの2015年9月9日付レポートで、iPhone 6sと6s Plusの出荷は順調であり、台湾系サプライヤーの受注規模は、先代のiPhone 6と6 Plusの2014年同期を明らかに上回っているとする台湾系業者の証言を伝えた。Apple社が前年モデルよりも発注を増やしている理由については、機能を強化したiPhone 6sと6s Plusの販売にApple社が相当な自信を見せているためだとした。さらにこの業者は、2015年第4四半期のスマホ市場について、台湾系の部品・組立業者らが自社や競合の受注状況を根拠に、前年同様、iPhoneの天下になるとの見方を示していると述べたという。