米Apple社のスマートフォン「iPhone」の2017年モデルの発表がカウントダウンに入った。iPhone誕生10周年の年に出るモデルということで、機能やデザインについては例年以上に様々なうわさが飛び交ってきたが、ディスプレーに有機ELを採用した5.8型の「iPhone 8 Pro」と、液晶ディスプレーの4.7型「iPhone 8」、5.5型「iPhone 8 Plus」の3種類が用意される。ホームボタンが廃されフルディスプレー型の縦長デザインになる、生体認証では指紋認証を廃止し顔認証になる、筐体は金属製からガラス製ボディーと金属製フレームになるなど、ここに来て情報も集約されてきた。目玉の有機ELモデルをHon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕が中国河南省鄭州工場で、液晶4.7型はPegatron社(和碩)が上海と江蘇省昆山工場で、液晶5.5型はWistron社(緯創)が昆山工場でと、台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)・ODM(Original Design Manufacturer)3社が既に量産に入っているようである。

 ところで、iPhoneのサプライチェーンといってよく名前が挙がる台湾企業といえば、アッセンブリーを手掛ける先の3社に加え、アプリケーションプロセッサ受託製造のTSMC社(台湾積体電路製造)、光学レンズのLargan社(大立光電)といったところ。ところが2017年8月下旬、意外な台湾企業がiPhone関連株としてクローズアップされた。台湾の「ナショナルフラッグ」として知られるChina Airlines社(中華航空)である。

 最初に同社に注目したのは米Bloomberg社。同社の情報サイト『Bloomberg』に2017年8月23日付で、China Airlines社の株価が同日までの8営業日で33.6%も急騰したと紹介。背景に、iPhone 8や部品の輸送需要があるとの見方を示した。

 翌日には地元台湾の新聞『経済日報』が、iPhone 8の輸送でChina Airlines社の株価が上がっている背景には、「ジャンボジェット」の呼び名で長年親しまれながら中型機の隆盛で需要が減少し姿を消しつつある米Boeing社の大型機「747」を同社が比較的多く保有していることがあると指摘する記事を掲載した。より多くの貨物を積める747を使えばiPhoneを北米と欧州へいち早く大量に輸送できるということで、China Airlines社の便の確保に業者が殺到しているというのである。