スマートフォン(スマホ)市場でこの2~3年、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し注目を集めていた中国Xiaomi社(小米)だが、最近は一時の勢いを失っている。米International Data Corporation(IDC)社の調査によると、中国市場におけるスマホのシェア(出荷台数ベース)でXiaomi社は2015年通年でこそ6490万台、シェア15%で首位だったが、同年10~12月期では1690万台、シェア14.4%で中国Huawei社(華為)、米Apple社に次ぐ3位、2016年1~3月期では920万台、シェアも9.0%と2ケタ台を割り込み順位も5位に下がった。世界市場でも2015年通年は7080万台、4.9%で5位だったものの、2016年1~3月期はトップ5から姿を消している。Xiaomi社は2016年3月1日、フラッグシップモデル「Mi 5」(小米手機5)を投入したが、それだけに同年1~3月期の伸び悩みは深刻に受け止めているはずだ。

 このMi 5について、台湾の経済紙『工商時報』は2016年5月19日付で、発売開始から3カ月が経過した最近になってもなお、予約した製品が手元に届かないユーザーが多数おり、Xiaomiの公式サイトでも品切れの状態が続いていると紹介。これが、同社が創業当時からマーケティングの手法として使ってきた「飢餓商法」、すなわち一度に供給する台数を絞ることで消費者の飢餓感をあおり販売を伸ばす品薄商法だとした上で、同社が今後も同様の手法を続けるのであれば、2016年第2四半期には、中国市場でのシェアでもトップ5から転落する恐れがあるとの見方が市場や業界にあると報じた。

 これに対し、Mi 5の品薄を「商法ではない」と否定したのはXiaomi社の林斌総裁だ。中国のIT専門メディア『IT之家』のインタビューの中で言及しているものだが、では、林氏はMi 5品薄の原因は何だと言っているのかというと、米Qualcomm社によるCPU「Snapdragon 820」の供給に問題があると主張しているのである。

 林氏によると、Xiaomi社はMi 5の第1弾投入に搭載する分として300万台分のSnapdragon 820を供給するようQualcomm社に求めたものの、Qualcomm社はXiaomi社の要求を満足させられなかったと強調した。さらに林氏は、金属製筐体や指紋識別センサーなど、スマホへの搭載で昨今流行りの部材についても、同社が調達に手間取り、競合に後れを取ったと発言。結果、Xiaomi社では2016年第1~3月期、需要の30%しか満たすことができず、数量ベースで600万~800万台分の販売を失ったに等しいとした。