シャープは2016年5月12日、次期社長に、同社の買収を決めた台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕の戴正呉副総裁が就任すると表明した。戴氏については当コラムでも「鴻海はブラック企業なのか」の回で、知日派の同氏がシャープの経営トップ級に就任する可能性が高いとの台湾の見方を伝えたが、その見方がほぼ的中した形となった。

 戴氏は、フォックスコンが出資金の振り込みを終える同年6月末にもシャープの社長に就任する見込みだ。董事長の郭台銘氏に比べ、戴氏は地味な印象で、人となりもほとんど知られていない。ただ、シャープの社長に就くことで、今後、日本で露出する機会が格段に増えることは間違いないだろうし、簡単な経歴については、「鴻海はブラック企業なのか」で触れた。

 そこで今回は、戴氏のシャープ次期社長決定が発表された同じ日、「シャープの手助けをしに日本へ行く」と公言したある台湾人の話を書く。