今回の熊本地震では、2016年4月14日夜にあった初回の大きな揺れの直後から、中国や台湾では、被災者を気遣うメディアの報道が相次いだ。同時に、台湾、中国のエレクトロニクスや半導体業界では、地震で生産を停止したCMOSイメージセンサーを製造するソニーの熊本工場(菊陽町)、長崎工場(諫早市)、大分工場(大分市)の動向に注目が集まった。米Apple社の「iPhone」など、ソニーからCMOSセンサーの供給を受けているスマートフォン(スマホ)が多数あるためだ。長崎工場、大分工場が同月17日から生産を再開したものの、熊本工場の停止が続いたことから、中国、台湾のメディアではApple社が今秋発売すると見られる次世代iPhoneの生産や販売スケジュールの遅れにつながるとの懸念を示すアナリストや業界関係者の指摘が相次いだ。ただソニーが同月18日、スマホ向けの生産は長崎、大分の両工場であり、熊本工場はデジタルカメラと監視カメラ向けのイメージセンサーだと表明。これにより業界には、スマホ用の供給が寸断する可能性がひとまずなくなったとの安堵が広がると同時に、スマホ製造で果たす日本企業の役割の大きさが改めて認識された。

 さて、この1カ月でスマホ業界ではCMOSセンサーと並んでもう1つ、注目を集めたiPhoneの部品がある。それは2017年モデルに搭載される筐体である。

 iPhoneの2017年モデルで話題になっている部品と言えば、なんと言っても現行の液晶から有機ELに変更するとのうわさが出ているディスプレーである。受注が最も有力視されるのは自社のスマホ「Galaxy」シリーズで既に搭載実績のある韓国Samsung Electronics社。これを韓国LG Display社やジャパンディスプレイ、台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕が買収を決めたシャープらが追う展開だとされている。