米Apple社が日本時間2016年3月22日、スマートフォン(スマホ)の4型新モデル「iPhone SE」を発表した。現行の旗艦モデル「iPhone 6s」(4.7型)、「iPhone 6s Plus」(5.5型)との目立った違いは、機能面では感圧タッチセンサー「3D Touch」が非搭載なこと、指紋認証機能の「Touch ID」に、より高速に反応する最新の第2世代のセンサーが搭載されなかったこと程度。これで、日本での価格は16Gバイトモデルで5万2800円(同)からと、8万6800円(税別)からのiPhone 6sより3万円以上も安い。iPhoneとしては手ごろに設定されたことから、iPhoneは欲しいが値段で躊躇していた新興国の消費者や、片手で操作できる4型を求めていた層に訴求するのではないかとの期待が、iPhone製造のサプライヤーが集積する台湾の市場では高まっている。そして、台湾ではiPhone SE登場の発表後から、その登場で株価の値上がりが期待される関連株が連日のように報道されている。

 ただ、報道の量や消費者や市場の関心という点では、このiPhone SEを圧倒しているApple社の製品がある。本当に出るのかどうか現時点で分かっていない、有機ELパネルを搭載した未来のiPhoneがそれである。

 Apple社がiPhoneに有機ELパネルの搭載を計画しているといううわさや報道が2015年の晩秋あたりから浮上したことについては、当コラムでも「Apple社の研究開発センターはいつだってミステリアス」「鴻海がシャープを必要とするワケ」などの回で何度か取り上げた。そこで触れたことについてはここで繰り返さないが、過去1カ月の間にも新たな情報がいくつか出ている。