2017年のEMS(電子機器受託製造サービス)業界は、世界最大手の初の減収という重苦しいニュースで幕を開けることになった。

 台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕は同年1月10日、前年の連結売上高が4兆3569億8800万新台湾ドル(1新台湾ドル=約3.6円)で前年比2.81%減の減収だったことを明らかにした。1991年の上場以来初の減収で、売上高の約5割を占め同社の屋台骨を支えている米Apple社から受注するスマートフォン(スマホ)「iPhone」の販売低迷が響いたものと見られる。

 iPhoneといえば、2011年に「iPhone 4」のCDMA版のアセンブリーを獲得し、その後受注比率を拡大してきた台湾Pegatron社(和碩)もフォックスコンと同じ日に2016年の連結売上高を発表した。こちらも前年比4.5%減の1兆1500億新台湾ドルで、2010年の上場後初の減収となった。特に2016年12月は前月比33.2%減、前年同月比27.4%減の840億1400万新台湾ドルと落ち込み、台湾市場のアナリストらが予想していた1000億新台湾ドル台も大きく割り込む形となった。

 iPhoneアセンブリーの受注比率は2016年末の時点でフォックスコンが7割弱、Pegatron社が3割弱だと見られている。うち新モデルについてはフォックスコンが5.5型「iPhone 7 Plus」のほぼ全数、4.7型「iPhone 7」はフォックスコンとPegatron社がほぼ半数ずつを分け合っていると見られている。このことから両社の地元である台湾市場では、「販売低迷が言われるiPhoneが予想以上に悪く、とりわけPegatron社の12月の大きな落ち込みは4.7型iPhone 7が想像以上に売れていないことを示唆するものではないのか」との見方が出ているようだ。