エンジニアの側も意識の大きな転換が必要です。一昔前でしたら、同じ会社で働きたい、という愛社精神、忠誠心は良いこととされてきました。今でも優秀な社員には会社に残ってもらいたいのは変わらないでしょうが、みんながみんな、「会社に頼りきる、しがみつく」というのは企業・人事部にとっては、むしろ重荷になってきているようです。

 エンジニアを定年まで雇用し続けることは、これからも保証できないだろう。会社にしがみつくのではなく、自力で外に仕事を見つけられるような人材になって欲しい。そのような人材になるように、企業内でも早期から教育すべきではないか、と人事部も考え始めているのです。また、これは昔からのことかもしれませんが、「どこの企業でもやっていけそうな人材」こそが、企業に引き止めたい人材、企業内でこれから活躍する人材でもあるのです。

 新卒で入った会社に何十年もいる、という方が特殊な制度だったのかもしれません。たとえば、日本でもアカデミックキャリア、大学では職を転々とするのは当たり前です。同じ職場で昇進するよりも、違う職場に移りながらステップアップしていくことの方が多い。日本の企業の中では急激に人事制度が変わることはないかもしれませんが、つらいリストラを経て、少しずつ変わり始め、5年、10年というスパンで見れば随分変っていくのだと思います。